NY百花繚乱 - NYのアパート事情

1985年にMercer Streetのアパートを出た私はE82丁目のFirst Ave. と York Ave.間のRailroad Typeと呼ばれるアパートに移りました。おそらく大恐慌時代に建てられた安普請のブルーカラー向けのウナギの寝床みたいアパートです。そこに約2年近く住んでおりました。ある夜、ふとアパートの裏庭を見ると蛍が飛び交っているのです。マンハッタンの街の中で蛍が飛び交うなんてとても不思議な気がしたのを覚えています。界隈はウクライナ系、ポーランド系、ハンガリー系と東欧からの移民が多く住んでました。ダウンタウンの喧騒から逃れて来たらとても静かです。これが同じマンハッタンかと思えないような静けさです。しかし、地下鉄の駅は86丁目まで歩かないと行けないし、2nd Ave.から出るダンタウン行きのバスはなかなか来ないので交通の便がちょっと不便なのが難点でした。それに私のアパートは3階にあり階段なので荷物がある時はかなりの負担です。特に商品を運ばないといけない時は本当に大変でした。1987年、サブレットしていたそのアパートに元の借り主が戻ると言うので私はアパート探しを始めました。私はレキシントン通りにあるアメリカ人の不動産エージェントを最初に訪ね、3件のアパートを見せて貰い2件目のアパートを即決しました。不動産エージェントを訪ねて1時間も経っていない速さです。そして不動産手数料として年間のレントの15%支払わされました。後で分かったのですが3件見せる場合いい物件をひとつだけ入れるのが常套手段だったようです。これも後で分かったのですが日本人の不動産屋に行くと手数料は一ヶ月分だと知りました。しかし、何でもそうですが出会いと言うものはそのような計算ずくでやって来るものではありません。気に入って長く住めば15%など安いものです。私の条件はまずドアマン無し、しかしエレベーター、そして荷物運搬用エレンベーターも兼ね備えていること、その条件にぴったりだったのです。ダウンタウンのMercer Streetのアパートでドアマン達は金持ちに愛想を振りまきますが我々みたいなのには鼻も引っ掛けないような態度なのに辟易していたのです。30丁目のアパートは100年前はホテルだったそうでなかなか立派なそして重厚な佇まいです。向かいにはMartha Washington Hotelがあります。9階建てのビルで私が借りたのはトップフロアーの9階の西側です。リビングルームからちょうどエンパイアステートビルのイルミネーションが見えてなかなかの眺めです。当時あの界隈はホームレスやアル中、それに娼婦がたむろしており、それに少し西側に行くとウェルフェアホテル(簡易宿泊所)が沢山あると引っ越してから聞きました。不動産エージェントはこの界隈はマリーヒルズと言って昔から金持ちが多いエリアだと言っていたのと随分話しが違います。しかし私は自分の直感を確信していたのでアパートにはとても満足しておりました。それに私が借りたアパートのオーナーはマイケルと言って気の良いジューイッシュの大男で私を随分気に入ってくれました。彼のお母さんは同じ30丁目の3rd Ave.近くでアンティックのお店を開いていてこのお母さんもとても気の優しい人でした。NYの古いビルはどこでもそうなのですがエレベーターが頻繁に故障します。9階迄登ったり降りたりするのは本当に大変でした。当時はまだ30年〜40年以上も住んでいると思われるお年寄りが何人もいましたが私がかれこれそのビルに20年以上住んでいた間に次々と亡くなっていきました。他の州は知りませんがNYでは古くから借りているテナントはレントコントロールだったかレントスタビライズかどちらか分かりませんが(何度聞いても忘れる)レントが値上げされない法令があるのです。特に70歳を過ぎている高齢者は追い出せないことになってます。だからSOHOなんかのロフトやアパートで数十年住んでいるテナントは新しく入居したテナントのレントと比較すると1/5 〜1/6ぐらいであることが珍しくありません。私の知っているライザはもう80歳過ぎてますが、彼女の住む56丁目の大きな2ベッドルームアパートはホテルペンシルベニアの反対側の古いビルあります。彼女はそこにもうかれこれ数十年住んでいてビルも新しい所有者に7−8年前に変わったのですが古くからのテナントを追い出すことは出来ません。新しい所有者は古くから住んでいるテナントが死ぬ迄じっと待たないといけないのです。それとNYにはHousing Authorityと言う政府機関系の部署があり、テナントの当然受ける正当な権利を守る役目を果たしております。ランドロードつまり大家がヒーターの故障や水回り等様々な問題を放置すれば罰則を受けることになります。

私の新しく引越したアパートは30丁目のストリートに面していないので比較的静かです。エンパイアステートのイルミネーションの色が変わるというのも初めて知りました。夜ベッドで本を読んでいるとエンパイアーステートビルの光りがパッと消えるのです。もうそんな時間になったのかと思って私は本と閉じ眠りにつきました。

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旧ユーゴスラビアからの移民のSuper(管理人)と1987年

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Midnightと30丁目のアパートの前で