NY百花繚乱 - 墓碑銘

犬のミッドナイトとよくサグハーバーのロングビーチを散歩しました。大きく湾曲したBayでかなりの遠浅です。自宅から歩いても30分ほどの距離で夕日がとても美しく彼女と散歩しながら夕日を眺めにしばしば行きました。何時頃からかコンクリート製のベンチが約40フィートの間隔で海に向かって並ぶようになりました。たぶん2000年辺りから設置されたのではないかと思います。このベンチの後ろに木製の簡単な柵がしてありそこに故人の墓碑銘であるプレートが貼り付けてあります。それぞれ故人の名前と生誕年と没年、そして遺族の故人を懐かしむ言葉が添えられてます。私はミッドナイトと歩きながらこの墓碑銘を眺めながら歩くのが好きでした。2001年9月11日に40代で亡くなった人の墓碑銘もありました。墓碑銘をそれぞれ見ながら幾つで亡くなったのか、どんな父親だったのか、母親だったのか、どんな友人だったのかと想像を巡らしながら歩く速度を丁度同じ速度で眺めて行くことが出来ます。殆どが割とありふれた追憶と感傷の字句が並んでますがその中でひときわ異彩を放っていた墓碑銘がありました。私はその墓碑銘はきっと故人が残した言葉であろうと思いました。でもどこかから引用したのかもしれません、”The Iliusion finally face to the reality”と刻まれておりました。この極めて短いポエティックな言葉ほど真実を物語っている言葉は他に無いのではないかと思ったほど私は気に入っておりました。そして何時も散歩する度にその墓碑銘に厳粛な気持ちで言葉をなぞっておりました。考えれば死以外は全て移り変わる相対的なもの、それにひきかえ死は絶対的な真理です。

私たちが直面する病苦、経済苦、人間関係の問題、老い、そしてそれらすべてを含む108つの煩悩はすべて相対的世界に派生する問題であり、そこに実体が無いとお釈迦様は般若心経の冒頭句ではっきりと伝えています。”観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄。舎利子”と。後は説明が続きます。私にはこの英語の墓碑銘が般若心経の意味を端的に伝えているのではないか、とそう思えるのです。数年前にその墓碑銘を探しに行ったらもうありませんでした。

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Sag Harbor Long BeachのSunset

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Sunset Clubは毎週木曜日の日没近くにロングビーチに集まります。飲み物や軽食は各自が持参、私の隣りに座ったおじさんは1昨日京都から戻ったばかりだとおっしゃいます。聞けば彼はリッツカールトンの副社長でホテルのオープニングに行ったのだそうでした。