NY百花繚乱 - 我が垂乳根の母

 

私の母は関東大震災の年に生まれましたので1923年生まれ、今年94歳になります。昨年春に大腿骨骨折でチタンを入れてリハビリに励んだ結果、体調は以前よりずっと良くなり何年も悩まされていた慢性便秘症も治り5−6年間2ヶ月に一度は輸血していましたがそれも殆どなくなり食欲も旺盛です。彼女の枕元には常に本が積み上げられており、領土問題、ブローバル時代の世界の行方、慰安婦問題等々、とにかくこちらから電話しようものなら軽く1時間ぐらい口に泡飛ばして国際政治や経済問題を語ります。世界金融界のドン、ソロスなんて名前がスルッと彼女の口から出てくるんです。

昨年のことでした、近所の商店街にいつも車椅子を押して買い物に出かけるのですが、母が3枚500円の木綿のパンツを買ってくれと言って私に千円札を渡すので私はお釣りを貰って品物を母に渡すと、その実用一点張りのパンツを”アンタもどうや?”と聞くので私は”こんなパンツ要らんわっ”とにべなく答えたら”まだ勝負する気かっ?”とこう抜かすんです、ムッカときた私は”ほっといてくれっ”と店先で母娘のバトル。

またこんなこともありました。テレビを見ていたんです、そしたらもう70はすでに越したと思われる女優さんがあでやかな着物姿で出てこられて私は昔と殆ど変わらないその容姿に驚いたところ妹が”ヒヤルロンサン入れてるんや”とこう言うんです。興味を持った私は”私も入れてみようかしら”と言ったとたん横から母が”それ以上崩すなっ”、私はもう呆気に取られて返す言葉もありませんでした。こんな母を持つと娘はどうなるか、会話は勢い喧嘩腰となり語尾の最後はいつも小さい”っ”が付く語気で終始する結果となるんです。母は商店街やスーパーをぐるっと回っては大特価、半額値下げ、見切り品、わけあり品などが大好きです。買ってきた見切り品のパッケージを手にしながら私は母にこう言ってやりました。”見切り品いつも買うけど一体自分の人生の見切りは何時つけるんや?”と。負けん気の嫌がらせで本当に百歳迄頑張りそうな予感がしています。