NY百花繚乱 - リンカーンセンターでバレーを見る

最近”ペトルウシュカの独白”小牧政英著(1976年6月三恵出版)、著者のサイン入りの本を日系人会のバザーで入手し読み終えました。氏が戦前からロシアバレー団に入って活躍されていたのを初めて知りました。小牧バレー団や石井獏氏、貝谷桃子氏の名は私も子供の頃から少女雑誌等で耳にしておりました。私が小学校の頃は松島トモコさんが大人気で私も一度だけファンレターを出した記憶があります。教科書やノートにはいつも少女がバレーをしている姿を描いたので先生の話しを集中して聞いた記憶が殆どありません。本の内容は小牧氏が戦前、戦中、戦後に渡って体験されたバレーに纏わる恩師や仲間そしてバレーの歴史などとても内容の深いストーリーで読み終えた後は芳醇なブランディーの香りが漂ってくるようでした。

そんなわけでリンカーンセンターに早速切符を買いに行ったのです。昨年の夏日本から観世流の能楽をリンカーンセンターで一週間公演していたので私はネットでチケットを買って失敗しました。30ドルのチケットだといろいろサーチャージが付いて40ドル以上になるのです。私は全部の演目を買いましたので損失額はチケット3枚にあたるほどです。だから直接窓口に行くとボラれることが無いと言うのを昨年の失敗で学んだのです。私が窓口に伝える条件はいちばん安いチケット、日にちはフレキシブル、座席はそちらがいちばん良く知っていると思うので選んで下さい、とこれだけ伝えるのです。

それで24日にAmerican Ballet Theaterの”ジゼル”を見ました。席もひよどり越えとは言え真ん中辺りの席で申し分ありません。ジゼルの内容は事前に調べていなかったので詳しく分かりません。プレイビルに書かれていると思いますがこれもまだ読んでおりません。とにかく私の鑑賞法は分からなくてもいいから”感じること”これがモットーです。人間の体があのように軽やかに舞い、飛翔しまるで骨が無いかのようなしなやかさで観客を魅了する、本当に驚きました。ジゼルのチケットを買う時にMidnight Summer Dreamを買おうとしたらそれは別のホールだと言うんです。外に出てみたらMidnight Summer Dreamの方はNY City Balletでした。私はどちらの方が格が上か下かは分かりませんが名前が違うとなるとどうしても両方みたくなり、これも窓口に行って同じ口上を述べ席も掛かりの販売員に選んで貰いました。彼が席の番号を言った時に私が尋ねたのは I can still breathe right ?  そして早めに騒音ガンガンのBroadway Marketを飛び出してリンカーンセンターに向かいました。真夏の夜の夢は確かシェクスピアが書いた物語だっと記憶しているのですがそれ以外の予備知識は皆無です。私はアッシャーにチケットを見せてようやくAA11に座りました。なかなか良い席でオーケーストラが全部見渡せます。数えると全部で5階までありました。会場内に人が入り出しざわめきが聞こえだした頃、誰かが私の横の立ち”ここは私の席だ”と言うのです。私はそんな筈が無い私の席はAA11だったと主張しても肝心のチケットが見当たらないのです。押し問答をしていても仕方が無いので私は空いていたAA13に仕方なく移動してチケットを探しまくりましたが忽然と消えて見当たらないんです。挙げ句の果てに大型のバッグを全部床にぶちまけて探しましたがありません。確かプレイビルの間に挟んだのは覚えているのですが無いんです。仕方なく私はそのままその席に座り続けました。そしてやっと休憩時間になったのでもうひとつぶら下げていた黒いナイロン製の袋も見たところそこにプレイビルがあるではありませんか。どうやら私が見たのは前日のプレイビルだったようです。やっと出てきたチケットを見たら紛れもなくAA11となっているのです。私は鬼の首でも取ったような勢いで若い中国人の女に”コレ見よ”と言わんばかりに"LOOK "とチケットを彼女の眼前に差し出しました。すると彼女はまるで天上天下唯我独尊のごとく人差指を上に立て”You are the fifth floor"と言うのです、じっと見たらなるほど5Fとなってます。私は黙ってすごすご元の席の引き下がりました。勿論そのままAA13の席に座り続けたのは言うまでもありません。AA13の人が来なかった僥倖に心から感謝した次第でした。バレーは素晴らしかったのは申すまでもありません。